2012/03/25

地球に生まれてしまったエイリアン



アスペルガー症候群は、いってみればエイリアンである
 

ネット上でもよく言われているものだが、心療内科で診断を受けた時、医師からも同じ言葉が出た。
自己診断でほぼ確定と思ってはいたが、実際に医師の口からこの言葉が出されると、いっそう重みがあった。


 
私は40代後半になってアスペルガー症候群と判明した。

ネット歴は約10年だったので、
それまでに一度くらいはどこかで「発達障害」というものを文字として見たことがあったかもしれないが、まさか自分の抱える生きづらさの原因がこれだとは結びつかなかった。

いってみれば、自分の「ルーツ」「原点」を知らなかった。

知りようがなかった。

知りたくて知りたくて、仕方がなかった。

ただ、なんとなく、
薄々 わかっていたような気がする。





また子供の頃のエピソードになる。

これが根底にあったので、私は「アスペルガーはエイリアン」というのを知った時に「なるほど」と、納得したのだ。


 
私は小学4~5年生で、既に「異質なるもの」だった。
 
いつも「 世間」に対し「違和感」が付きまとい、そこここに矛盾があり、不条理があった。
親も「
世間」に属していた。
学校のクラスの友達も教師も皆、「
世間」だったが、私だけ世間に属していなかった。
 こんなにも周り中に対して「違う」「わからない」と感じるなんて、絶対ありえないだろう、といったものだった。  
同じ日本語という言語を話しているのだけれど、通じない。
まるで、文化も風習も違うどこか知らない場所に投げ込まれて居る、といった感覚だった。  
このような感覚が日常なので、いつからか、
ここは自分の場所ではない」
「たぶん、 私は生まれるところを間違えてここに居るのだろうな」 というような思いが定着していた。



テレビでたまたま

「UFOに連れ去られた!」 のようなスペシャル番組?を観たときも、別に「恐ろしい」だとか「嫌だ」というような気持にはならなかった。

どんなふうに感じていたかというと、

やっぱりそうか、
間違えて地球に送り込まれてしまった人たちをUFOは探して、本来生まれるべきであった場所に戻そうとしているのか、
じゃぁ私のところにもいつか、UFOが迎えに来るのかなぁ… 
 みたいな感じだった。


その続編で、「UFOに連れ去られた人が、数年後に戻ってきた!」みたいな番組を見た時の感想は、

この人は、「中身」を入れ替えられて戻ってきたのかなぁ
じゃぁもう、今は「中身」は本来の場所に戻って、「普通に」暮らしているのかなぁ…
であった。

同様に、戻ってきた人の
今の中身は、それまではどこか遠くの違う場所で、「何か違う」という違和感の中で暮らしていたが、やっと本来の場所:地球に戻ってこれたので、今後は普通に暮らせる、というわけだ。
この「入れ間違えられた中身」とは、私の中ではいわゆる「」みたいな捉え方だったように思う。


間違えられた中身は本来の場所に戻す」というのが、一番自然であり、一番望ましい形であると思えた。
だから「
普通に暮らせていない」私から見ると、本来の場所に戻れた彼らはとても羨ましい存在に思えたわけだ。

で、私も、この「知らない場所」にいる
自分の存在を、早く早くUFOに見つけて欲しいと願っていた。
それは、「焦がれる」ような思いであった。




 

私は、自分のルーツを探したが、見つからなかった。
  


40年間 UFOは現れなかったが、私のルーツを言い渡してくれる人 にやっと出会えた。
「あなたはアスペルガーです」
「あなたはエイリアンなのですよ」
診断を下してくれた 医師 が、その人だった。

 
今まで、ずいぶん辛い思いをされましたね と医師は言葉をかけてくれた。

その言葉は、「ここに居たんですね、ずいぶん探しましたよ
」 と聞こえた。

 
私は涙があふれてあふれて、言葉にならなかった。
 
はい、子供の頃からずっと待っていました。
やっと、見つけてくれたんですね。





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