文書化支援コンサルタント、開米瑞浩さんの「誠 Biz.ID:説明書を書く悩み解決相談室」シリーズというものがある。
などがあり、以前から読んでいたのだが、これらの中に出てくる、
知っている「用語」の認識違いは気付きにくい
「認める」≠「期待する」であるというそのココロは?
情報の構造化
プロには素人の疑問が分からない
プロにとっては基礎知識でも素人には通じない
構造の説明
指標の説明よりも省略しがち
などのキーワードが、私はどうも気になる、何やら無視できないもののようで、ずっと「なんだろう…」と考えていた。
「もう少しでわかりそう、思い出せそうなのだが、惜しいところで引っ掛かっていて出てこない」みたいな、もやもやした感じだった。
そしてついに、これら「何か気になるもの」が「なんだったのか」わかったのが以下の記事だった。
今までモヤモヤしてはっきりとした形にならなかった思考、漠然していた「思い」は、頭の中で構造化ができていなかった状態、ということなのだろう。
1/3~3/3まである長文だが、3/3の部分を引用させていただく。
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「道路の渡り方」の説明を徹底的に構造化してみよう
では、具体的な例を挙げましょう。以下の場面は、先生が幼児に「道路の渡り方」を教えるシーンを想定しています。
これは「道路の渡り方」の「説明」であり「指示命令」になっています。普通は道路の渡り方のような簡単な技術を「スキル」とは言いませんが、実際にはこれも1つの「生活のスキル」であるのは間違いありません。先生の言葉
じゃあ今から先生がお手本みせますからね。
はい、ここが道路ね。それで、道路の向こうに行きたい、そう思ったら、
まず右見てね、車が来てたら、渡っちゃダメよ。
来てなかったら、次に左見るの。やっぱり車が来てたら渡っちゃダメ。
それからもう一度右見て、車が来てなかったら、
手を挙げて、渡りましょうね。いい? 分かった?
こうしたスキルを教える場面では大抵、説明が必要です。
先生
道路はどうやって渡ればいいと思う?
なんていう質問だけで「子供が自ら気付く」わけはありません。だから説明しなければいけませんが、このとき、理想を言えば情報を徹底的に構造化しておくべきです。
参考までに、道路の渡り方を徹底的に構造化した例をお見せしましょう。
思わず「何これ?」と衝撃を受けるかもしれませんが、単なる道路の渡り方でも、徹底的に構造化するとこうなります。さすがにこれを小学1年生に説 明するのは無理ですが、ここに出てきたフレームワークは、実は汎用的に使えるものなのです。業務マニュアルなどを書くときに、参考にしてみてください。
まずは右端の「基本的特性」の欄を見てみましょう。すると「車は道路を走る」「車は高速を出す重い物体である」などなど、わざわざ言う必要もない ほど誰でも知っている常識的な情報が並んでいます。これらを、対象物が基本的に持っている性質ということで「基本的特性」と呼んであります。
一方、その左にあるのは基本的特性を踏まえた「判断あるいは行動のルール」です。例えば「道路横断時は車にぶつかりやすく危険である」というのは、関連づいた2つの基本的特性から論理的に得られる判断です。
「(A1)車が来ないことを確認する(必要がある)」というのも、関連づいた(C1)項から論理的に得られる判断です。その(A1)を具体的な行 動ルールにしたものが「(B1)渡る前に右・左・右の順に点検する」です。同様に判断(A2)を行動ルールにしたものが(B2)です。
基本的特性と判断あるいは行動のルールがそれぞれ論理的に対応づいていることを確認してください。
さらにその左、安全確保系概念という欄がありますが、これは「判断あるいは行動のルール」欄の情報を、「安全確保のための検討ポイント」という観点で分類したものです。
- 安全確保の基本概念=「危険を防ぐために、安全課題を明らかにして、事前点検をしよう」
というのは、どんな分野であっても共通に出てくる「安全確保」のための基本的な思考パターンです。道路の渡り方もこのパターンで構造化できることが分かりますね。
最後に左端の列は、問題解決系の概念を使って構造化したものです。「目的を達成するために、問題点を見つけ、課題を抽出して、解決策を考える」というのは、問題解決の典型的な思考パターンであり、道路の渡り方はこのパターンで構造化することも可能です。
いかがでしょうか。「たかが道路の渡り方」です。ここまで構造化する意味があるのか? めんどくさくなるだけじゃないのか? と思われるかもしれ ません。実際、幼児にこれを教えるのは無理ですし、テーマが道路の渡り方だったら、何もここまでやらずとも(B1)(B2)だけで十分に役立つでしょう。
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「道路の渡り方」だけで済ましてしまうと、何の重要性も見えてこない。
だが、ここに出てきたフレームワークは汎用的で、しかもアスペルガーの問題点が浮き彫りとなりがちな「生活のスキル」「コミュニケーションスキル」の構造化としても応用できる、というわけである。
この構造化の話は軽く流してしまうにはもったいない。
大いに応用させていただこう。
もちろん「アスペルガーバージョン」として応用するわけだが、その際に注意すべき点は、次のようなことだ。
1.
図の右端「基本的特性」の中に、自分が持っている「アスペルガー・発達障害の特性・傾向」と、「定型発達者の思考の特性・傾向」の違いも十分に認識し、盛り込んでおく必要がある。
図の右端「基本的特性」の中に、自分が持っている「アスペルガー・発達障害の特性・傾向」と、「定型発達者の思考の特性・傾向」の違いも十分に認識し、盛り込んでおく必要がある。
なぜかと言うと、「わざわざ言う必要もない ほど誰でも知っている常識的な情報」は、あくまでも「定型社会での常識的な情報」なので、我々の思うそれとは必ず温度差があり得るからだ。
定型発達者は、彼らの常識をわざわざ言う必要もないとして、省略し言わない傾向がある。
だから、こちらは気づきにくいし、誤解や矛盾が多く付きまとう。
つまり、「基本的特性」は、アスペルガーにわかりにくい部分があると思っておくほうが良い。
2.
次の、「判断あるいは行動のルール」も、上記のわかりにくい基本的特性を踏まえたものであるから、「基本的特性から論理的に得られる判断」にも、留意する必要がある。
この時の「論理的判断」も「行動」も、定型社会で望ましいとされている判断あるいは行動」であるから、ここにも必ず温度差が発生し、我々は望ましくない的外れな判断・行動をしてしまう危険性がある。
3.
最後に、ついに最大の難関である「問題解決系の概念」が登場した。
最後に、ついに最大の難関である「問題解決系の概念」が登場した。
定型発達者と我々との間で、最も大きく立ちはだかるものが概念の違いだ。
このせいで、日常での問題では当然のように「典型的な思考パターン」が大きく食い違い、トラブルの原因だ。
定型発達者の思考パターンは「ある程度」わかってきた(つもりだ)が、どんな点を問題視するか、何を重要視するかについては、やはり概念の違いでどうにもならないと限界を感じてしまう。
記事本文にあるとおり、 安全確保の基本概念=「危険を防ぐために、安全課題を明らかにして、事前点検をしよう」であるはずなのだが、彼らの「安全確保系概念」は、安全課題を明らかにせず、問題をうやむやにして済ますことに執着しているかのように見えて仕方がない。
そもそも、「意見を言うこと」を「危険な問題」と捉え、「相手にどう思われるか」ばかりを重要視する人を多く目にする。
これも問題解決系の概念の持ちようで、それぞれなのだろうが、いつになっても私には釈然としない矛盾として残る。
記事本文にあるとおり、 安全確保の基本概念=「危険を防ぐために、安全課題を明らかにして、事前点検をしよう」であるはずなのだが、彼らの「安全確保系概念」は、安全課題を明らかにせず、問題をうやむやにして済ますことに執着しているかのように見えて仕方がない。
そもそも、「意見を言うこと」を「危険な問題」と捉え、「相手にどう思われるか」ばかりを重要視する人を多く目にする。
これも問題解決系の概念の持ちようで、それぞれなのだろうが、いつになっても私には釈然としない矛盾として残る。
1. 2. で出てくる課題の解決策を考える
私の問題解決の典型的な思考パターンは、こうだ。
とりあえず、定型社会に多い、我々にわかりづらい「基本的特性」をなんとかしないといけない。
これについては、こちらが少しでも疑問を感じた点は、わかったふりをせず率直に確認する、または予め詳しく率直に説明してもらうよう頼んでおく、これで対処するしかないように思える。
ただ、こちらの疑問点についてはこれでなんとか対処が可能だが、定型者が疑問に思う点があった場合、彼らがそれをこちらに率直に言ってくれるかどうかは、期待できない。
そういう場合こちらは彼らの疑問に気付くことができず、自分の意見が通ったとしてやり過ごしてしまう可能性がある。
ただ、こちらの疑問点についてはこれでなんとか対処が可能だが、定型者が疑問に思う点があった場合、彼らがそれをこちらに率直に言ってくれるかどうかは、期待できない。
そういう場合こちらは彼らの疑問に気付くことができず、自分の意見が通ったとしてやり過ごしてしまう可能性がある。
これに対処するには、出来るだけ、よろしいですか? わかっていただけましたか? などと常に相手に確認していくしか手がない。
多少面倒がられたとしても、誤解を生むよりはマシだ。
しかし、確認した際にもらう返事にも「本音と建て前」が存在するのを忘れてはならない。
多少面倒がられたとしても、誤解を生むよりはマシだ。
しかし、確認した際にもらう返事にも「本音と建て前」が存在するのを忘れてはならない。
果たして返事が本音なのかどうなのか、これもまたアスペルガーにとっては計り知れない。
万が一、建て前での返事をされてしまうと、そうなるともう打つ手はない。
まったく対処のしようがないということになる。
アスペルガーが頑張って頑張って、出来得る限りの最善を尽くしても、ここまでだ。
3. の、「安全確保の基本概念」の矛盾については、機会あれば周囲の人の意見も聞いてみたい。
ただし、相手から「たかが道路の渡り方」と面倒がられないような説明を、また考えなければならない。
ただし、相手から「たかが道路の渡り方」と面倒がられないような説明を、また考えなければならない。
私の思考は、もっともっと情報の構造化が課題であることは間違いないようだ。
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